日頃から、両親や義理の両親の誕生日祝いを特にしていない場合でも、「古希」といった特別な長寿のお祝いはきちんとしておきたいものです。 そこで、古希のお祝いをしたいけれど、相場やどのように行うべきなのかがわからないという人向けに、古希の由来やお祝いの仕方についてまとめました。
古希祝いとは70歳のお祝いのこと
中国の詩人、杜甫の詩句に｢人生七十古来稀なり｣というものがあります。これは、「昔から人生を70年生きる人は稀である」という意味の言葉です。古希は元々、この句が由来で、「稀」と書かれていたものが、常用漢字の「希」に変化したといわれています（現在でも、「古稀」と書く場合もあります）。栄養状態が悪く、医療も発達していなかった時代には、70歳まで生きる人は珍しかったのです。そこで、70歳まで生きた長寿の人に対して、古希という特別なお祝いをするようになりました。
もっとも、現在では70歳まで生きるというのは珍しいことではなくなっています。そのため、古希も「長寿のお祝い」というよりは、「節目となる年齢の誕生日祝い」というようなとらえ方をするといいでしょう。
元々、長寿のお祝いには、還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿など、さまざまなものがあります。このうち、満60歳を祝う還暦以外は、それぞれ数え年の70歳、77歳、80歳、88歳を祝うものでした。
しかし、現在では、数え年を使う人が少なくなり、年齢といった場合は満年齢を示すことが一般的になったため、古希や喜寿なども、満年齢で祝うケースが増えています。これは、「数えが正しい」「満年齢が正しい」というものではありませんから、それぞれの家庭ごとに、本人や周囲の人が祝いたいと思うタイミングでお祝いをするのがいいでしょう。
古希祝いの方法はどんなものがある？
古希のお祝いにはプレゼントや食事会、家族旅行など様々な方法があります。相手の方に喜んでもらうために、家族構成やライフスタイルを把握した上で、より適している方法を選ぶようにするとよいでしょう。
プレゼントを贈る
古希祝いで一般的なのは、プレゼントやお祝い金を贈る方法です。家族で集まってお祝いするのが難しい場合にも、気持ちの込もったプレゼントを贈ることで喜んでもらえます。プレゼントには、古希の節目として形に残せるものがよいでしょう。プレゼントを贈ったあと、電話やリモート通話などで顔を見ながらお祝いを伝えるのもおすすめです。
家族で集まってお食事会をする
モノやお金は必要ないという相手には、家族で集まって食事会を開くという方法もあります。普段はいかないような素敵なお店で、家族や友人など親しい人だけを集めて食事会をすれば、あまりお祝い事が苦手な方であっても喜んでもらえるでしょう。家族が集まる機会がなかなかない方も、古希祝いの節目に集まってみてはいかがでしょうか。
家族旅行に行く
古希のお祝いということは、子供は成人して離れて暮らしているという方も多いのではないでしょうか。そのため、この機会に家族揃って旅行の計画を立てるというのもおすすめです。普段はなかなか会えない家族と旅行する機会を設けることは、古希のお祝いとして嬉しい贈り物になるでしょう。
古希祝いはいつ渡せばいいの？
古希のお祝いは、お正月にすることもあれば、本人の誕生日にすることもあります。また、敬老の日などに行う場合もあります。
古希のお祝いを行う時期、お祝いを渡すタイミングには、決まったルールはありません。家族や親族のあいだで、都合のいい日時を相談してお祝いの日を決めましょう。お祝いの品はその日に持っていき、直接本人に渡すのがおすすめです。
古希祝いの相場は？
古希祝いの相場は、1～10万円程度と、非常に幅広いです。それぞれの家庭の台所事情や、ほかの親族のお祝い金額とのバランスなどを考えて決めましょう。
古希祝いの贈答マナーは？
古希祝いの贈り物には、紅白の蝶結びの水引に、のし付きのかけ紙を使います。表書きは「祝古希」や「御祝」「寿」などが適しています。名前には、贈り主の名前を記します。夫婦で贈る場合は、夫の姓名を右側に記し、左側に妻の名前を書き添えます。兄弟や姉妹の場合は、兄や姉の姓名を右側に、弟妹の姓名を左側に書きましょう。また、「子供一同」などとすることもできます。
金封を贈る場合も基本的にはこれと同様で、紅白もしくは金銀の蝶結びに、のし付きの金封を使います。記名もかけ紙と同様に記します。
古希祝いの定番・おすすめギフト
相手によって好みやライフスタイルはさまざまなので、古希祝いのギフトには何を選べばいいのか迷ってしまう方も多いでしょう。ここからは、古希祝いとして定番のギフトやおすすめのギフトを紹介します。
カタログギフト
カタログギフトは、相手に好きな品物を選んでもらえるため、好みがわからない相手でも気軽に渡せる定番のギフトです。また、選ぶ楽しみも贈れるほか、体験型ギフトが充実しているカタログを選ぶことでレジャーの提案にもなります。カタログギフトと一緒に相手の好みの品物と組み合わせて贈るのもよいでしょう。
小物・アクセサリー
古希祝いとでは、紫色が使われた小物やアクセサリーを贈るのも定番です。還暦の赤色のように、古希には紫色の物を贈るとよいとされています。例えば、紫色のアメジストが使われた小物やアクセサリーなどが人気です。小物やアクセサリーは、普段使いができるので、特に喜んでもらえます。古希の記念品として名前などを入れても、より特別感があって喜んでもらえるでしょう。
花束
ギフトとして人気の花束は、古希祝いでも定番です。お祝いの席を華やかにしてくれるほか、癒し効果もあるので性別問わず喜んでもらえます。好みやライフスタイルがあまりわからない仕事関係の方への贈り物としてもおすすめです。古希祝いでの花束には、小物・アクセサリーと同じように、紫色の花を入れるのが定番となっています。
旅行券・ギフトカード
古希祝いでは現金を贈ることも失礼にはあたりませんが、贈られる側が「現金よりも記念になるような物がほしい」「お金には不自由はしていないから、子供からもらおうとは思わない」ということもあるでしょう。そのような場合は、現金ではなく、旅行券やギフトカードなどを贈るのがおすすめです。商品をプレゼントするよりも、好きなアイテムや好きな場所への旅行に使えるため、どんな方にも喜んでもらえるおすすめです。
古希祝いを選ぶ際のポイント
ここからは、古希祝いを選ぶ際に重要となるポイントについて紹介します。
カラーは紫色を基調に
還暦に赤い物を贈るのが定番といわれるように、古希祝いには紫色の物を贈る風習があります。昔は、紫は高貴な色で身分の高い人しか身に着けることができませんでした。その高貴な色を贈ることで長寿を祝い、尊敬の意を表すというのが紫に込められた意味です。
最近ではこのような意味合いは薄れたものの、紫の小物類やアクセサリー、花束などは古希祝いの定番の贈り物となっています。古希祝いを選ぶ際には、紫色を基調にしたものを選ぶことでより喜んでもらえるでしょう。
プレゼントは相手がもらって嬉しいものを選ぼう
古希祝いを贈る相手は多くの場合、自分の両親などの近しい相手ですから、好みやライフスタイルもよくわかっているはずです。古希祝いを選ぶ時には、相手に合わせて貰って嬉しい物を選びましょう。
また物だけではなく、家族旅行などをプレゼントして思い出づくりをするのもおすすめです。最近の70歳はまだまだ若いとはいえ、だんだん体も動きづらくなってきます。元気なうちに、楽しい思い出づくりに出かけてみてはいかがでしょうか。
古希祝いに関するQ&A
古希のお祝いをする際には、慣れないことで疑問に思うこともあるでしょう。ここからは、古希祝いに関するよくあるQ&Aについてを紹介します。
Ｑ 遅れて知った場合はどうすればいい？
Ａ 古希祝いは基本的にその方の誕生日当日、または年初めにするケースが多く、その日周辺の家族や友人が集まりやすい日などで行われます。古希だったことを知らなかったという場合は、1年間であればいつでもOKですので早めにお祝いを贈りましょう。
昔は数え年の69歳で古希祝いをすることが一般的でしたが、現在は満年齢で70歳になった時にお祝いをすることがほとんどです。ただし、満年齢を過ぎてからのお祝いは避けた方がよいので、遅れて気づくことがないように身近で古希が近い方がいないか、前もって確認しておいた方がよいでしょう。
Ｑ お返しには何を渡すべき？
Ａ 古希祝いをいただいた場合のお返しには特に決まりはありません。家族や親しい友人へは、お礼のメッセージなどで済ませても問題ないでしょう。しかし、お祝いの席にお招きした場合や仕事関係の相手である場合は、お返しをした方が良い可能性もあります。
古希祝いのお返しは、相手との関係性や状況に応じて用意するかどうかを検討するとよいでしょう。また、お返しの相場はいただいた金額の3分の1から2分の1程度が一般的です。
古希祝いでお返しを選ぶ際には、以下のようなものがおすすめです。
・紅白まんじゅう
・赤飯
・菓子折り
・風呂敷
【参考】書籍：冠婚葬祭・お金のマナー大辞典 主婦の友社
古希祝いで長寿を祝おう
古希祝いについて紹介しましたがいかがでしたか？人生の節目として大切な古希祝いには、記念になるような食事会や旅行のほか、相手のことを考えたギフトを贈ることで、素敵な記念日になることでしょう。
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