新しい命の誕生は、とてもおめでたいものです。その気持ちを物やお金に託して渡すのが「出産祝い」です。ですから、一番大切なのは、心から「おめでとう」と思う気持ちでしょう。
だからといって、相手の迷惑になるような出産祝いを押し付けてしまったり、向こうのご親族から眉をひそめられたりするようなマナー違反をしてしまっては、せっかくの気持ちが台無しになってしまいます。 そのようなことがないよう、出産祝いについて改めて考えてみましょう。
また、出産祝いと対になる出産内祝いについてもご説明します。
出産祝いとは?
出産祝いは、そもそも「赤ちゃんの誕生を祝って贈るもの」ではなく、「お母様に対して、無事の出産をお祝いして贈るもの」です。赤ちゃんに対して誕生をお祝いしたいという場合は、出産祝いではなく「誕生祝い」になります。
そのため、出産祝いを郵送や宅配便で贈る場合や、電報を打つ場合の宛名は、赤ちゃんではなくお母様になります。ただし、ご自身の考え方や相手との関係によって、ご夫婦宛てにしたり、お母様と赤ちゃんの連名にしたりすることもあります。
とはいえ、赤ちゃんの名前は、出産内祝いの際に報告されることも少なくありません。
誕生祝いを贈りたいけれど赤ちゃんの名前がわからないという場合は無理に聞く必要はなく、お母様宛てに贈れば問題ありません。
出産祝いを贈る時期と渡し方
出産祝いは、赤ちゃんの体調が安定する生後7日目から、お宮参り前の1ヵ月以内に贈るのがマナーです。しかし、生後7日目では、退院直後であったり、いまだ入院中であったりする場合も少なくありません。このような時期に押しかけるのは、迷惑になる可能性が高いものです。直接自宅に出向く場合は、2週間ほど経って落ち着かれたあとで渡すのがおすすめです。
ただし、2週間経っていれば必ず問題ないということではありません。体力の回復や体調、家庭環境には個人差がありますから、先方の都合を必ず伺うようにしましょう。先方がためらわれるようであれば、延期したり、郵送でお渡ししたりする配慮が必要です。
出産祝いにおすすめの品物
出産祝いの定番は赤ちゃん用品です。スタイや少し大きめの洋服、タオル、おもちゃなどが人気で、よく選ばれます。ただし、直接赤ちゃんの肌に触れる物は、オーガニック素材以外は抵抗があるというお母様もいらっしゃいます。製品の素材や先方の考え方について、事前にリサーチしておくようにしましょう。また、授乳中は避けたほうがいい食べ物や飲み物があります。
お母様やご家族宛てにお菓子などをお持ちする場合も、問題がないか確認しておくことが大切です。
最近の傾向としては、「ダイパーケーキ」(おむつケーキ)などのカジュアルで実用的な物が好まれる風潮があります。ただ、こちらについても、衛生面などから抵抗を感じる方もいますので注意が必要です。友人同士では、お母様宛てにヒーリンググッズや産後エステ券などを贈ることもあります
何がいいかわからないというときは、出産祝い用のカタログギフトを贈るのもおすすめです。
本当に必要な商品を自由に選んでもらえますし、出産後は、気軽に買い物に行くのも難しくなりますから、家にいながらにしてショッピングを楽しんでもらえるというメリットもあります。
出産祝いの相場
出産祝いの金額は、親族であれば10,000円から20,000円程度、友人や知人は5,000円から10,000円程度が相場となっています。
過去に、お贈りする側から出産に対するお祝いをいただいている場合などは、相手の金額に合わせる配慮も大切です。金額が大きく異なると、気を使わせることになるため注意しましょう。
出産内祝いとは?
出産内祝いは、「赤ちゃんの誕生というおめでたいことがあったので、喜びのお裾分けをする」ためのものです。そのため、出産祝いをくださった方だけにお贈りすると決まっているわけではありません。
しかし、現在では「お返し」という意味合いが強くなっているため、出産祝いをいただいていない方にお渡しすると、「出産祝いの催促かな」と思われてしまうこともありますので気をつけましょう。
出産内祝いを贈る時期と渡し方
出産内祝いを贈る時期は、生後1ヵ月ほどで行われるお宮参りのあとが目安です。遅くとも、生後2ヵ月くらいまでには贈るようにしましょう。
のしには、お名前の披露も兼ねて、赤ちゃんの名前を記します。漢字の名前の場合は、右側にふりがなを振るようにしましょう。 また、お礼状を添えて感謝の気持ちを示すことも大切です。
渡し方については、もちろん直接お渡しするのが正式ですが、遠方にお住まいの場合など、気軽に会えないケースもあるでしょう。そのようなときは、事前にお伝えした上で贈っても構いません。
出産内祝いにおすすめの品物
紅白のおまんじゅうやお砂糖などのおめでたい物を贈るという風習が残っている地域もありますが、一般的には、焼き菓子やお茶類、タオルなどの実用的な物が選ばれることが多くなっています。趣味に合わない雑貨類は処分に困ることもあるため、一人ひとり個別に選べない場合は、消え物や日用品がおすすめです。
出産内祝いの相場
出産祝いをいただいた方への内祝いは、いただいた金額の半額程度が目安となります。また、多数の方からの連名でお祝いをいただいた場合は、プチギフトのような小さなお返しをお渡しするのがいいでしょう。
出産祝いと出産内祝いの関係
現状、出産祝いをいただいていない方に出産内祝いを渡すということはほとんどないでしょう。そのため、本来の意味とは異なるものの、出産内祝いは、ほぼ出産祝いのお返しのような位置付けの贈り物となっています。
そのため、いつ、いくらの出産祝いをいただいたのかということが、出産内祝いをお渡しするときに非常に重要になってきます。
出産内祝いの選択を間違えると、せっかく出産祝いをくださった方の気持ちに泥を塗ってしまうことにもなりかねません。出産内祝いを贈るためにも、出産祝いをいただいた際は、どのような物をどなたからいつ受け取ったのかリスト化しておくのが便利です。
出産祝いと内祝いの金額
出産祝いでいただいた金額の3分の1以下の内祝いは、相手に対して失礼にあたります。しかし、反対に高額すぎる内祝いを贈るのも失礼にあたるため、金額には十分な配慮をするようにしましょう。
品物をいただいて金額がわからないという場合でも、およその値段を推察して失礼にならない内祝いを贈る必要があります。 ただし、両家の親などからは、かなり高額な出産祝いをいただくケースもあるでしょう。このような場合は、律儀に3分の1を返すことも失礼にあたる場合があります。
出産内祝い自体は、好みに合わせた高額すぎない物を選び、その代わりに、赤ちゃんの様子をこまめに伝えたり、写真を送ったりなど、金額ではない部分でのお返しについても検討してみてください。
出産祝いと内祝いを渡す日程
内祝いを贈るタイミングの目安は、生後1ヵ月のお宮参りのころです。新しく赤ちゃんを迎えたご家族は、この時期までに、いただいた出産祝いの内容をまとめて、内祝いの準備をしておくようにしましょう。
一方、出産祝いを渡す側は、先方が内祝いを準備するタイミングに間に合うよう、生後1ヵ月までにお祝いを渡す必要があります。もし遅れてしまった場合は、1歳のお誕生日祝いとしてお渡しするなどの配慮が必要となります。
このように、出産祝いと出産内祝いには、密接な関わりがあります。出産祝いを贈る側は、お相手の出産内祝いのご準備についても配慮して金額や時期を選ぶようにしたいものです。
また、内祝いを渡す場合も、出産祝いに何をいただいたのかについてよく考える必要があります。おめでたいお祝いが、思わぬ亀裂のきっかけになってしまわないよう、出産祝いと出産内祝いの関係について理解した上でお祝いをするようにしましょう。