友達や同僚、先輩などから「入籍しました」という報告があり、お祝いに何かプレゼントしたいという人もいるでしょう。しかし、結婚式をせずに入籍のみ行った場合は、何をどのようにお祝いすればいいのかわからない人もいるかもしれません。
本記事では入籍祝いのプレゼントの選び方やのしの書き方、贈り方のマナーなどをくわしく解説します。
入籍祝いとは?
まずは、入籍祝いとは何かを確認しておくことが大切です。入籍祝いとは結婚式を挙げずに入籍のみを行った方へ送るお祝いのことで結婚祝いとは区別されます。
そもそも入籍祝いと結婚祝いはどのような違いがあるのか、正しい知識を身につけておかなければ知らずにマナー違反をして相手に不快な思いをさせてしまうかもしれません。
また、コロナ禍であることから結婚式を挙げずに入籍のみをするカップルも増えているため、入籍祝いと結婚祝いの違いを知っていれば知識を今後に役立てられるでしょう。
結婚祝いとの違い
結婚祝いとは結婚式を挙げるカップルに贈るお祝いを指します。一方で、入籍祝いは入籍のみをするカップルに贈るお祝いです。結婚するという意味では入籍祝いと結婚祝いは共通していますが、両者の違いは結婚式を挙げることを前提にしているかどうかという点です。
また、ご祝儀やプレゼントを渡すという意味では共通していますが、お祝いにかける金額は結婚祝いを贈るほうが高くなる傾向にあります。とくに結婚式に参列する場合は、結婚式の食事代や引き出物代などを含めて贈るのが一般的です。
入籍祝いでは何を贈る?
結婚式に招待されている人が結婚祝いを渡す場合は、ご祝儀を渡すのが一般的です。しかし、入籍のみを行った方には何を贈ればいいのかわからない人もいるでしょう。
入籍祝いで贈るものは大きく分けて「ご祝儀のみ」と「祝儀+プレゼント」「プレゼントのみ」の3パターンが考えられます。
ご祝儀(現金)のみ
入籍祝いを贈る場合、ご祝儀(現金)のみを渡しても失礼に当たることはありません。ご祝儀を受け取った側は、欲しいものを買うことができるため入籍祝いに喜ばれやすい贈り物です。またご祝儀は、2人の好みや趣味などを把握していない場合にもよいでしょう。
ご祝儀のみを入籍祝いに贈る場合は、いくら位の現金を包めばいいのかという目安は2人との関係性によります。
ご祝儀(現金)とプレゼント
ご祝儀だけでなく、プレゼントも一緒に入籍祝いとして贈ることも可能です。ご祝儀のみを入籍祝いに贈ることは失礼に当たりません。しかし、祝福の気持ちを伝えるためにプレゼントも用意したいという人もいるでしょう。
ご祝儀とプレゼントの組み合わせであっても、入籍祝いの金額相場に見合ったものであれば相手に対する失礼な行為にはなりません。
プレゼントのみ
入籍祝いにプレゼントのみを贈るのも一つの方法です。2人から「これがほしい」といった明確なプレゼントの希望がある場合は問題ありませんが、関係性によっては相手の負担になる可能性があります。
入籍祝いを受け取ったカップルは、内祝いとしてお返しをするのが一般的なマナーです。ご祝儀を受け取った場合はご祝儀の一部を使って内祝いを用意できますが、プレゼントを受け取った場合は、ポケットマネーを使って内祝いを用意しなければならず、経済的な負担をかけてしまう可能性があるため注意が必要です。
入籍祝いの相場とは?
入籍祝いで贈るお祝いにかける金額は、結婚式に参列した場合に包む金額の半額から3分の1程度とされています。結婚祝いに比べて入籍祝いのほうが少ないのは、結婚式に参列する必要がなく、食事代や引き出物代などの費用が不要になるからです。
例えば、結婚式に参加する際の結婚祝いの金額相場が30,000円程度の場合、入籍祝いに贈る金額は10,000~15,000円程度必要です。
友達へのご祝儀・プレゼントの金額相場
友達の入籍祝いを贈る場合の一般的な金額相場は10,000円程度です。ご祝儀のみを贈る場合は、ご祝儀袋に10,000円の新札を包みましょう。プレゼントを贈るなら合計で10,000円になる品物を選ぶことをおすすめします。
特に親しい相手の場合やこれから自分の結婚式で相手を招待する予定の場合、少ないと感じるかもしれません。その場合は10,000円をご祝儀に包み、プレゼントは3,000~5,000円程度に収まるようにギフトを選ぶとスマートです。
親戚へのご祝儀・プレゼントの金額相場
兄弟姉妹を含む親戚に入籍祝いを贈る場合は、友達へのお祝いよりも金額相場が高い傾向にあります。例えば、兄弟姉妹やおい・めいに贈る際は30,000~100,000円が一般的な相場です。いとこに入籍祝いを贈る際は、30,000~50,000円程度が相場になります。
親戚に入籍祝いを贈る際、相手との関係性や渡す側の年齢などによって金額が異なる場合があります。ただし、おい・めいやいとこに入籍祝いを贈る場合は、親族間のルールや地域の慣習などがないか確認しておくと良いでしょう。
職場の人へのご祝儀・プレゼントの相場
同僚などの職場の人に入籍祝いを贈るときの金額相場は10,000円程度が一般的です。ただし、仕事でお世話になっているなど関係性が深い相手に贈る場合は10,000円以上を用意する方も少なくありません。逆に、挨拶を交わす程度の関係性の人であれば3,000~5,000円程度でも問題ないでしょう。
ほかにも個人としてでなく、部署やチームなどで複数人の連名で入籍祝いを贈る場合は、人数によって10,000~30,000円程度にまとめて渡すケースもあります。
結婚祝いをいただいた相手が入籍のみの場合
結婚祝いをいただいたことがある相手に入籍祝いを贈る場合は10,000円程度が目安になります。たとえ結婚祝いで30,000円をいただいたとしても、一般的な金額相場にならって10,000円程度贈れば問題ありません。
ただし、10,000円のお祝いを贈るだけでは物足りないと感じる方はご祝儀に10,000円を包み、3,000~5,000円程度のギフトを一緒にプレゼントすると良いでしょう。
入籍祝いのプレゼントの選び方
入籍祝いのプレゼント選びでポイントになるのは、新生活で使えるものや特別感が得られるもの、相手の好みや趣味に合ったものであるかという点を押さえておくことです。
新生活で使えるもの
入籍祝いにプレゼントを贈るなら、新生活で使用しやすいものを選びます。とくに、2人が新居に引っ越して新生活を始める場合は、生活に役立つギフトを贈るほうが喜ばれやすいでしょう。
例えば、お祝いの定番のタオルや人気ブランドの食器、キッチン用品などがあげられます。新生活で使えるものを選ぶ際はできるだけ実用性が高く、おしゃれなデザインのものを選びましょう。
特別感のあるもの
特別感のあるものは、入籍祝いのプレゼントにぴったりです。結婚は人生の中でも大きな節目となる特別なイベントなので、入籍祝いに結婚の記念になるようなギフトを贈れば喜んでもらえるでしょう。
特別感のあるものとして2人の生まれた年や入籍した年に作られたワイン、名入れギフトなどがあります。名入れは湯のみやタンブラー、タオル、エプロンなどさまざまな品物にできます。
2人の好みに合ったもの
入籍祝いのプレゼントなら、2人の好みに合ったものを贈るのが理想です。2人が好きなブランドやデザイン、ほしいものを把握している場合にはベストな選び方でしょう。
ただし、あらかじめ好みなどを聞き出す時間が取れない場合や直接聞き出せる間柄ではないという人にとっては難しい方法かもしれません。その場合は、2人が直接好きなものを選べるカタログギフトを贈るのも一つの手です。
入籍祝いを渡すタイミング
入籍祝いを贈る際に迷うのが渡すタイミングです。結婚祝いなら、結婚式に参列する際に受付でご祝儀を渡すことができます。しかし、結婚式を行わずに入籍のみの場合は、いつ、どのようにして入籍祝いを渡せばいいのか悩みどころです。ここでは、入籍祝いを渡すタイミングについて解説します。
基本的には入籍を聞いてから1カ月以内
入籍祝いを渡すタイミングは、入籍の報告を聞いた日から1カ月以内が目安です。入籍の報告は、基本的に入籍後に行われることがほとんどのため、入籍祝いを贈るのも入籍後になるのが自然な流れです。
入籍の報告を受けたにもかかわらず、1カ月を超えてから入籍祝いを贈るのはマナー違反になるため、お祝いを渡すなら1カ月以内に贈るように準備しておきましょう。また、入籍を聞いてからできるだけ早く贈るほうが良いとされています。
入籍祝いの渡し方として理想的なのは手渡しですが、遠方で会いに行くのが難しい、コロナ禍で直接会うのは気が引けてしまうという場合は、配送会社に依頼して送ってもマナー違反にはなりません。
ただし、本人以外から入籍の情報を聞いた場合は、事実を確認してから贈るようにしましょう。
入籍がまだの場合は入籍する1週間前までが目安
入籍する前に結婚の報告を受けた場合は、入籍をする1週間前までに入籍祝いを贈るのがマナーです。ただし、2人と近々会う予定があるなら入籍祝いを直接手渡し、祝福の気持ちを伝えるのも一つの方法です。
会う予定がない場合は、配送会社を利用して入籍祝いを送ることをおすすめします。ご祝儀を送る場合は、現金書留の手続きをする必要があります。現金書留は郵便局の窓口で手続きできるため2人の新居などの住所を確認した上で手配しましょう。
入籍祝いのメッセージとのしの書き方
入籍祝いのメッセージやのしの書き方を学ぶことは、マナーのある社会人として必要な知識です。入籍祝いのメッセージとのしの表書きを書く前に以下を参考にして正しい書き方を把握しておきましょう。
メッセージの書き方
正確にいうと、日本の法律において入籍=結婚ではありません。なぜなら、入籍とは単に「戸籍に入ること」を意味しているからです。法律上の結婚とは婚姻届を提出して夫婦が新しい戸籍を作ることを指します。
しかし、一般的には入籍=結婚と同じ意味で用いられているため「入籍しました」と報告があった場合は、婚姻届を提出したと受け止めて問題ないでしょう。そのため、ご祝儀袋やプレゼントにのしをかける際やメッセージを書く際は「入籍御祝」と記載するのは誤りになるので注意が必要です。
のしの書き方
のしの表書きには誰がどのようなお祝いを送ったのかを明確に示すために必要なものです。のしの上部に「御祝」などの表書きを記載し、下部には送り主の氏名を書くのがマナーとされています。
のしのかけ方は、内のし(内掛け)と外のし(外掛け)の2パターンがあります。内のしとは、品物などに直接のしをかけて、その上から包装紙でくるむ方法のことです。のしを包装紙の内側にかけることから、内掛けとも呼ばれています。
一方、外のしは包装紙で包まれた品物の上にのしをかける方法です。包装紙の外にのしをかけるため、外掛けと呼ばれています。入籍祝いを手渡しする場合は外のしを選び、配送会社に依頼する場合はのしが汚れるのを防ぐために内のしを選ぶのが一般的です。
表書きは「御結婚御祝」や「寿」が一般的
入籍祝いを贈る際の表書きは「御結婚御祝」や「寿」を用いるのがマナーです。上述したとおり、法律上は入籍=結婚ではないため、「入籍御祝」と記載するのはマナー違反になるので注意が必要です。表書きは、のしの上部に記載し、下部には送り主の氏名を書き忘れないようにしましょう。
結婚祝い用の市販のご祝儀袋には、すでに「寿」や「御結婚御祝」などの表書きが印刷されているものも多くあります。また、プレゼントの品物を購入する際は、のしをかけてくれるサービスを利用することをおすすめします。
水引はほどけない「結び切り」か「あわじ結び」を選ぼう
水引にはさまざまな種類や色があり、お祝いなどの慶事用と法事などで使用される弔事用に分けられます。入籍祝いは慶事用なので、紅白や金銀などの華やかな色の水引を選びます。
また、水引は「結び切り」や「あわじ結び」などの「一度きりで繰り返さない」や「両家が固く結ばれる」といった意味を持つ、ほどけない結び目のものを選ぶのがマナーです。水引の本数は10本結びのものが一般的で、10本結びは両家の5本の指が重なる縁起事を意味しています。
入籍祝いを贈る際は、蝶結びのように何度もほどくことができ、結び直せる水引は縁起が悪いので避けましょう。
連名の場合は立場順に右から名前を書く
連名で入籍祝いを贈る場合は、右から左に向かって目上の人の氏名から順番に記載するのがマナーです。連名で入籍祝いを贈るシチュエーションとして、職場の複数人の同僚がまとめてプレゼントを渡す場合や交流がなかったいとこに対して複数人の兄弟姉妹が贈る場合などが考えられます。
職場の同僚が連名にする場合は社歴の長い人が一番右に氏名を記載し、次の人がその左に書くといった具合に記名しましょう。ただし、3人以上になる場合は「〇〇一同」や「有志一同」といった表現でまとめて記載します。
入籍祝いで贈ってはいけないNGプレゼント
入籍祝いにプレゼントの品物を贈る場合は、選んではいけないNGなものがあります。NGな品物を贈ると2人を不快な気持ちにさせてしまう可能性があるため注意しましょう。一般的に入籍祝いで送ってはいけないとされるものは、刃物やハンカチ、日本茶、お菓子などが挙げられます。
包丁やナイフなどの刃物
刃物は、入籍祝いに贈るプレゼントとしておすすめできません。包丁やナイフなどの刃物は実用性が高く、料理をする際に必要になるアイテムですが、切るという行為から「縁が切れる」という縁起の悪いイメージを連想させやすいので、入籍祝いのプレゼントに選ばないようにしましょう。
他にもガラス製品などの割れやすいものも、入籍祝いのプレゼントに選ばないことをおすすめします。ただし、近年は「切る=運命を切り開く」や「割れる=幸せが増える、繁栄する」といった意味で捉えられている場合もあります。
「手切れ」に通じるハンカチ
ハンカチは入籍祝いのプレゼントには向いていません。ハンカチを漢字にすると手巾(しゅきん)と書きます。手巾は「てぎれ」とも呼ばれ、また不幸の際に涙を拭うために使用されることもあります。
そのため現在でもハンカチは「手切れ」や「別れ」のイメージを連想させてしまう恐れがあると考えられています。ハンカチは気軽に渡せる贈り物としておすすめのギフトですが、入籍祝いのプレゼントに贈るのはNGなので注意しましょう。
弔事によく使われる日本茶
日本茶は弔事の際に香典返しなどで贈られることが多いギフトであることから、入籍祝いのプレゼントにはおすすめできないアイテムです。
日本茶そのものに縁起が悪いイメージはありませんが、弔事から不幸な出来事を連想しやすいため、お祝いの品物としては避けるほうが良いでしょう。飲み物を贈るなら、コーヒーや紅茶などを選ぶことをおすすめします。
お菓子などの食べもの
お菓子やグルメギフトなどの食べものも、入籍祝いのプレゼントに向いていないものです。食べものは食べてしまうと消えてなくなることから「消え物」と呼ばれています。消えるという意味から、食べものはお祝いの品物として縁起が悪いとされているため、食べものを贈るのは控えましょう。
他にも消え物と呼ばれているものには、石けんや洗剤、ケアグッズなどもあります。入籍祝いのプレゼントを選ぶ際は、縁起が悪い意味を持ったものではないか確認してから選ぶと失敗がないでしょう。
入籍祝いのおすすめプレゼント!
入籍祝いにおすすめのプレゼントは、新生活に使えるものや特別感のあるもの、2人の好みに合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、これらの条件に合う入籍祝いにおすすめのプレゼントを紹介します。入籍祝いのプレゼント選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
2人で使える食器
2人で使える食器は、入籍祝いにおすすめのプレゼントです。食器は割れものになるため、お祝いとして贈るのは失礼ではないかと迷われる方もいるかもしれません。しかし、上述したとおり、近年は「割れる=幸せが増える、繁栄する」といった良い意味で解釈される場合もあるため、入籍祝いに選んでもよいでしょう。
お祝いのメッセージや手紙に食器には「幸せが増える」や「繁栄する」といった意味があることを書いておくと誤解が生まれにくいかもしれません。
おしゃれで便利な家電
家電は実用性が高いため、これから新生活を送る2人へのお祝いにぴったりなプレゼントです。ただし、生活に必要な冷蔵庫や洗濯機、掃除機などの定番品はすでに準備している可能性が高いため、自分では買わないようなものを選ぶと喜ばれます。
例えばアロマ加湿器やミキサー、フードプロセッサーなどが挙げられます。家電を選ぶ場合は、できるだけおしゃれで場所を取らないものを選びましょう。
何枚あってもうれしいタオル
タオルは何枚あっても困らないため、入籍祝いのプレゼントにおすすめです。プレゼントを贈ったときは2人きりでも、将来的に子どもが生まれた場合にタオルがたくさんあれば役立ちます。
タオルを入籍祝いのプレゼントにするなら、自分では買わないような高級感のあるタオルがおすすめです。国産タオルの中でも、今治産や泉州産は高品質で人気があります。
新生活を彩る花
入籍祝いとして、花をプレゼントにするのも一つの方法です。花は、目上の人や職場の人などに贈る場合など、どのような関係性であっても気にせずにプレゼントしやすいアイテムです。ご祝儀と一緒に品物をプレゼントしたいという場合でも、花なら相手も気軽に受け取ることができます。
花それぞれに花言葉があるため、新生活に相応しい花を選ぶようにしましょう。
おめでとうの気持ちを伝えよう
入籍祝いは「ご祝儀のみ」・「ご祝儀とプレゼント」・「プレゼントのみ」の3パターンがあります。相手との関係性や上述した金額相場の目安などを考慮した上で、適切な金額の入籍祝いを贈るようにしましょう。
プレゼントを贈る場合は、入籍祝いにNGなものもあるため、縁起の悪い品物を選ばないよう注意することをおすすめします。入籍祝いを手渡しするなら、「おめでとう」と祝福の気持ちをしっかりと伝えることが大切です。配送する場合は、メッセージや手紙を添えると良いでしょう。