結婚は人生の大きな節目であるとともに極めてフォーマルな出来事です。
それだけに、「友人に結婚祝いを贈りたいけれど、どんなことに気を付けるべきなの?どんな物を贈ればいいの?」「披露宴に来てくれた人へのお礼や結婚祝いのお返しはどうすればいいの?」と、不安になることも多いのではないでしょうか。
そんな不安を乗り越えて、しっかりお祝いや感謝の心を届けるには、基本的なマナーを知っておくことが役立ちます。結婚に関する贈り物の種類と贈答の際のエチケットや金額の目安、品物の選び方など、押さえておくべきポイントをまとめて紹介します。
結婚に関するギフトは2種類
結婚に関するギフトは、「結婚する人に贈る」場合と「いただいたお祝いに返礼する」場合の大きく2種類に分かれます。
結婚する人へ贈るもの
結婚を祝う気持ちを込めて贈るのが「結婚祝い」です。昔は品物を贈るのが一般的でしたが、時代が進むにつれて用意が便利な現金を贈ることも増え、今では品物でも現金でも構わないとされるようになりました。もちろん、両方贈ってもかまいません。
いただいたお祝いへの返礼
結婚する側がもらったお祝いや、お世話になった人への感謝を込めて「返礼」をします。 おもに次の3種類があります。
引き出物 | 披露宴に出席してくれた人にお土産として持ち帰ってもらう品 |
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結婚式のお礼 | 結婚式や披露宴で特別お世話になった人に渡すもの 仲人や司会者、余興やスピーチを披露してくれた人、受け付けをしてくれた人、会場の責任者などへ |
結婚内祝い | 披露宴に招待できなかった人や欠席された人からお祝いをもらった際に、お返しとして贈る品 |
結婚祝いは現金でも物でもOK
友人や親族が結婚する際に贈るのが「結婚祝い」です。結婚式・披露宴に出席するかしないかにより、贈る時期や金額の目安が多少変わります。
結婚式・披露宴に出席する場合
結婚祝いは、正式には式のまえに吉日を選んで自宅に持って行くものです。
しかし現在では、現金を贈る場合は、特別親しい間柄や仲人でない限り、結婚式・披露宴の当日に持って行き、受付で手渡すのが一般的です。その場合の金額は相手との関係によって変動し、友人や同僚の場合は20,000~30,000円、親類の場合は50,000~10万円ほどが相場です。
基本的に分けることができる偶数の数字は避けますが、「対をなす」という意味で夫婦を象徴する数字「2」と、「末広がり」で縁起のいい数字である「8」は使っても構わないとされています。
お祝い金は、金銀または紅白の結び切りの水引がついたのし袋に入れ、表書きは「寿」または「お祝い」などとします。
のし袋はさまざまな物が売られていますが、中の現金額と釣り合わなければ失礼になるので、売り場の注意書きなどを参考に、豪華すぎない物を選びましょう。なお、友人などが主催する会費制のパーティーに出席する場合は、出席すること自体がお祝いなので、別にご祝儀を用意する必要はありません。
物を贈る場合は、本人たちから披露宴への招待状を受け取ったあと、挙式の1、2ヵ月前から1週間前までに贈るようにして、当日式場に持って行くのは避けます。もし、品物が間に合わない場合は、結婚する本人たちにその旨を伝えて、後日贈っても構いません。なお、金額の目安は現金を包むときと同じです。ご祝儀もいっしょに贈る場合は、現金20,000円に10,000円相当の品物のように、現金と品物を組み合わせても問題ありません。
品物を選ぶ際は、堅苦しく考える必要はありません。インテリア小物やタオル、家電、調理器具など、生活で役立ちそうな物や、最近ではカタログギフトも人気があります。何を選ぶにせよ、相手の喜ぶ物であることが一番です。
ただし、縁切りを連想させる刃物類や、割れたり壊れたりするガラスや陶器類など、昔からタブーとされている物はありますので、これらを贈りたいときは相手の希望を確認するなどの配慮をするといいでしょう。
結婚祝いは、本人たちへの結婚の贈り物であると同時に、両家をお祝いするという意味もありますので、ご両親など年配の方への配慮の気持ちも必要です。
結婚式・披露宴に出席しない場合
予定が合わず、結婚式や披露宴に出席できない場合は、式の1週間前までに、お祝いの気持ちを込めて現金か品物を贈ります。金額は、出席した場合のお祝い金から披露宴のお食事代を引いた額を目安に、友人なら5,000~10,000円、同僚なら10,000円ほどが一般的です。
小規模な家族婚などで、結婚式や披露宴に招かれてないけれどお祝いを贈りたい場合は、結婚の報告を受け取ってから、お祝いの言葉をつづった手紙やメッセージカードを添えて贈ります。
3種類のいただいたお祝いへの返礼を理解する
自分たちが結婚するときは、いただいたお祝いにしっかり返礼していくことが大事になります。
引き出物
以前の引き出物は、披露宴で提供された料理の一部を、家で待つ家族のために持って帰ってもらう「折り詰め」スタイルが定番でした。しかし、時代の流れとともに変化し、現在では、新郎・新婦からゲストに贈る記念品・お土産という位置付けになっています。
かける金額はゲスト1人あたりの飲食費の3分の1~半額程度が目安となります。記念品に「引き菓子」と呼ばれるお菓子を3個または5個添えるのが基本とされますが、地域や家のやり方がありますので一概にはいえません。全体の傾向としては、食器類やキッチン・バス用品などの生活必需品、自由に実用的な品を選んでもらえるカタログギフトなどが人気で、年代や性別などで品物を変える場合もあります。出席してもらった感謝を込めて当日渡すものですから、持ち運びがしやすいことが大事なポイントとなります。
結婚式のお礼
結婚式のお礼も、結婚式の当日渡す物です。お世話になる式場スタッフや司会者などに渡す「お礼」と、遠方からの列席者に渡す「お車代」があります。また、教会や神社、寺院で式を挙げた場合は、式場にもお礼を渡すのが一般的です。10,000円以上の場合はご祝儀袋、10,000円未満の場合はもう少し簡易なポチ袋に入れて渡します。
・司会者、カメラマン、ピアノ演奏者など
10,000円程度が相場。ご祝儀袋の表に両家の名前を記載して、披露宴が始まるまえに渡します。
・美容師、着付け係、ハイヤーの運転手など
2,000~5,000円ほどが相場。ポチ袋の表にお世話になった方の姓を書き、美容師や着付け係にはヘアメイクや着付けが始まるまえ、運転手には車から降りるときに渡します。
・お車代
主賓や乾杯の発声をお願いしたゲストには、受け付けが済んだあと、依頼した側の親から10,000円ほどを渡します(ただし、ハイヤーを手配した場合などは渡す必要はありません)。遠方からのゲストには、ゲストが気を使わない程度の金額か、宿泊費・交通費のいずれかを目安に、親族には親から、それ以外の人は受付で渡します。
結婚内祝い
内祝いは、元々は慶び事を分かち合うという意味で、お祝いをいただくまえに贈るものでした。現在は、いただいたお祝いのお返しとして贈ります。贈られたものの半額を目安に、引き出物と同じように実用的な品やカタログギフトを贈るのが一般的で、引き出物と同じ品を贈っても問題ありません。
披露宴に出席した人には、引き出物としてお礼を渡していますので、改めて内祝いを贈る必要はありません。
マナーを押さえた贈り物は、結婚のお祝いや、それに対する感謝の心を伝える大切な物です。ぜひ、ギフト選びの参考にしてください。