会社や職場の同僚から香典をいただいた場合、状況によってはどのように香典返しをすべきかわからないことも多くあります。喪主は何度も経験するものではないので、いざという時に失礼な対応をしないように、前もって知識を持っておくことが大事です。
そこで本記事では、ビジネスシーンでの香典返しのマナーや注意点、香典返しに適した贈り物について紹介します。弔事は心身ともに大変なことではありますが、お礼の気持ちをしっかり伝えて、その後の関係に影響しないように注意しましょう。
香典をいただいたときは香典返しを贈るのが一般的
香典返しとは、通夜や葬儀の際に参列者からいただいた香典に対するお返しのことです。香典返しには、来ていただいた方への感謝の気持ちを表すのと同時に四十九日の法要が無事に済んだことを報告する意味も持っているため、四十九日が過ぎてから贈るのが一般的です。
ただし、地域によっては、葬儀の当日に香典のお返しを用意することもありますので、自身の住んでいる地域や親族の風習を知っておくことも重要です。
また親族や友人だけでなく、職場や取引先など仕事関係の方から香典をいただく場合もあります。仕事関係で香典を受け取った場合は、個人名なのか会社名なのか、誰からの香典なのかを確認しマナーを守った香典返しをするように心掛けましょう。
香典返しが不要のケース
仕事関係者からの香典には、会社名の場合と個人名の場合で香典返しを用意するかどうかが異なります。会社として香典をいただいた場合は、自身が所属している場合は福利厚生費、取引先の場合は交際費として、経費から出ていることがほとんどです。このように、それぞれの会社の社内規定に沿って香典を用意していただいた場合は、香典返しを用意する必要がないとされています。
また社内規定によっては香典を辞退されたり、受け取ることが禁止されていたりする場合もありますので、用意しない方が無難です。会社からの香典には会社名だけでなく、役職名や社長の氏名が記載されている場合がありますので、その場合は個人からなのか、会社からなのか、失礼のないように職場へ確認した方が良いでしょう。
香典返しの金額目安
香典返しの金額の目安は、いただいた香典の3分の1から半分程度とされています。葬儀代などを香典から引くと大体半分くらいが残ることから、香典返しも半分くらいの金額を目安にするようになりました。
例えば、1万円の香典をいただいた場合は、5,000円程度の香典返しを用意します。香典の相場が5,000円〜1万円程度なので、香典返しは2,500〜5,000円程度で用意することが多くなります。
地域の風習に合わせて当日返しを行う場合は、いただいた金額に関係なく、一律で品物を用意しておきます。 香典の相場に合わせて2,000〜3,000円の品物を選びましょう。もし、2万円など高めの香典をいただいた場合は、足りない金額分の品物を用意し、改めて忌明け法要後に贈ります。
香典返しを贈るときのマナー
会社名義ではなく、上司や同僚など個人名義で香典を貰った場合は、親族や友人と同じように香典返しを用意しますが、失礼にならないように必ずマナーを守りましょう。
ここからは、香典返しを贈る際の基本的なマナーについて解説します。
掛け紙(のし)を用意して紙袋に入れて渡す
香典返しの品物には必ず掛け紙(のし)を掛け、一人ひとりが持ち帰りやすいように紙袋を用意しましょう。
香典返しの掛け紙には、白黒の水引で結び切りになっているものを使用します。水引の色は宗教によってグレーや銀、双銀、黄白が使われることもあります。
表書きは仏式では「忌明志」、神式では「偲草」、キリスト教のカトリックなら「昇天記念」、プロテスタントなら「召天紀伊年」と記載します。特に信仰している宗教がない場合は、宗教を問わず使える「志」を使うと良いでしょう。
香典返しを手渡しする場合は外のし、後日郵送で贈る場合は、配送中に敗れたりしないように内のしにするのが一般的です。
忌引休暇後に手渡しをする
香典返しのマナーとしては、四十九日の後に手渡しもしくは当日手渡しするのが一般的ですが、会社関係者への香典返しの場合は、忌引き休暇が終わって始めて出社する時に手渡しする場合も多くあります。
当日返しをしていない場合や香典の金額が高額で更にお返しが必要な場合は、忌引休暇後に手渡しできるように用意しておきましょう。
プライベートなことなので、休憩時や終業後など就業時間外に渡すように配慮するのが基本です。葬儀に参列してくれた方には「葬儀へのご参列ありがとうございました。」などの心遣いのお礼をし、感謝の気持ちを一緒に伝えましょう。
口頭でお礼を伝える
香典返しを渡す際、忌引休暇をもらったのであれば、直属の上司に無地に葬儀が終わったことの報告や社を休んだことに対するお詫び、休暇中の業務引き継ぎに対する感謝を伝えるのも大事です。
朝礼などで話をする機会を貰えるのであれば、職場の人全員に向けてお礼の挨拶をしておきましょう。また、メールでのやりとりがほとんどで直接会う機会が少ない職場の場合は、メールで感謝やお礼を伝える方法もあります。
会社からの香典で香典返しをする必要がなかった場合でも、忌引き休暇や業務引き継ぎのお礼として、複数人でも共有できるような個包装のお菓子を持参するなど職場への気遣いも大切です。
郵送の場合は四十九日の法要の後に贈る
会社の関係者から個人的に香典をいただいた場合、香典返しを他の社員の前で渡すのは気まずい、複数人に対する香典返しを会社に持っていくのが大変ということもあります。その場合、無理に手渡しせずに後日郵送しても失礼には当たりません。
香典返しを郵送する場合は、四十九日法要を終えた後に贈るのが一般的です。贈る相手と忌引き休暇後に会う機会がある場合は、忌明け後に香典返しを郵送する旨を伝えておきましょう。
また、郵送の場合は香典返しの品物と一緒にお礼状を同封するのもマナーです。お礼状は、葬儀参列や心遣いのお礼、休暇をいただいたことへのお詫びなどを記載し、感謝の気持ちを込めて丁寧に書きましょう。
香典返しにまつわる疑問
香典返しの基本的なマナーについて解説しましたが、会社関係者への香典返しは、その時の状況に応じて対応することも重要です。
ここからは、会社関係者への香典返しにまつわる疑問とその回答を紹介します。どんな状況でも対応できるように参考にしてください。
部署ごとなど複数人から1つの香典を受けとった場合は?
香典の表書きに「社員一同」や「○○部一同」などと記載があることもあります。その場合所属する部署やチームの複数人が会社とは別に香典を用意してくれている場合がほとんどなので、香典返しを用意するのが一般的です。
複数人の場合、一人ひとりに香典返しを用意すると香典の金額を上回ってしまったり、渡すのが大変だったりするので香典の額が高額でなければ、みんなで分けられる個包装の菓子折りでも問題ありません。
複数人からの香典を代表者が持参してくれた場合、代表者だけに香典返しをするという場合もあります。
連名で1つの香典を受け取った場合は?
表書きに複数人の個人名が記載されている場合や香典の中に氏名が書いた紙が入っている場合は、人数分の香典返しを用意した方が良いこともあります。その場合、皆に同じものを用意すると良いでしょう。
ただし、連名の香典を代表で1人が持ってきてくれた場合や夫婦の連名であった場合などは複数用意せず、1つの香典返しでよいでしょう。
連名での香典は複数人でお金を出し合うことが多く、いただいた金額によっては香典返しの金額のほうが高く負担が大きくなってしまいます。そのため、人数を把握したあとに全員に配れるお菓子などを持参したり、少数であれば1,000円程度の香典返しを用意したりするケースもあります。経済的な状況に応じて選んでもいいでしょう。
社長から香典をもらった場合は?
香典の表書きに、会社名と社長の名前が記載されている場合は、会社の福利厚生の一環である可能性もありますが、社長個人で香典を包んでいる場合は香典返しが必要です。
個人が社長と親しかった場合や社員数が少ない場合、一家の大黒柱が亡くなった場合などでは社長個人で香典を用意するケースがあります。会社からなのか、個人からなのか判断が難しい場合は、総務部などに確認するとよいでしょう。
社長個人からの香典だった場合は、高額であることも多いので、金額に応じて品物を用意し、後日お礼とともに手渡ししましょう。
取引先から香典を受け取った場合は?
取引先から香典をいただいた場合、自分の会社と同様にまずは香典の名義を確認しましょう。取引先の会社名が記載されている場合は「交際費」として経費計上されていることが多く、その場合は香典返しは必要ありません。
ただし、故人と個人的に付き合いのあった取引先である場合、個人名で香典をいただくこともあります。その場合は、通常と同じくマナーを守って香典返しを用意します。連名の場合も、まとめて1つの香典返しにするのか、それぞれにお返しするのかを金額に応じて判断し用意しましょう。
また、取引先の会社名義で香典をいただき、香典返しを用意しない場合は、後日差し入れとして小分けできるお菓子などを持参するとスマートです。
香典返しを辞退された場合は?
会社関係者からの香典では、遺族への気遣いから香典返しを辞退される場合もあります。その場合、香典返しを用意する必要はありませんが、挨拶状(お礼状)を出すのがマナーです。お礼状には今回のお心遣いに対するお礼と香典の使い道や法要が無事済んだことの報告などを記載します。
また、香典返しは用意しませんが「差し入れ」の名目で社内で配れるお菓子や飲み物を用意するケースもあります。香典返しを辞退されている場合に、別途お菓子などを用意するのはルールではありませんので、用意しなくても失礼には当たりませんが、お礼状は必ず出すように気をつけましょう。
香典返しを渡すときの注意点
会社関係者へ香典返しを渡す時は、周りへの配慮も大切です。他の社員の前で個人的な香典返しを渡すと香典返しを出していない方が、気にしてしまうこともあります。人前で香典返しを渡すのはなるべく避けましょう。
また、弔事とは言えプライベートなことではあるので業務時間内に時間を取ってもらうのも避けます。始業前の時間で渡せるように早めに出社したり、終業後に渡したりして配慮しましょう。職場の空気や相手次第では、特に気にしない場合もありますが、忌引き休暇や業務引き継ぎの対応をしてもらったばかりのことなので、できるだけ失礼のないように気をつけましょう。
また、職場で直接手渡しする場合は持ち帰る際に邪魔にならないように、大きくかさばるような品物は選ばない様にした方が無難です。
カタログギフトで感謝の気持ちを伝えよう
大切な家族が亡くなり悲しみに暮れるなかでも、葬儀や法要の準備などで慌ただしく時間が過ぎていきます。そんな中、香典返しを用意するのは大変なことです。
相手のことを考えて品物を選ぶのも大事ですが、余裕がない場合には、選ぶ側の負担が少ないカタログギフトを活用するのがおすすめです。ハーモニックのカタログギフトでは、さまざまな種類、価格帯が選べます。
香典返しを用意する際には、ぜひハーモニックのカタログギフトを利用してください。