法事を経験する機会は少ないため、お返し選びに迷う人は多いものです。本記事では、法事のお返しに何を選ぼうか迷っている方に向けて、相応しいギフトを紹介します。お返しする際のマナーや渡し方なども解説しているので、マナーを学び、社会人としてしっかりとした対応をしましょう。
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法事のお返しとは
法事とは故人の四十九日・一周忌・三回忌などのタイミングに合わせて行う法要のことです。
参列者からお供えを頂くことが多く、お供えを受け取った側はお礼や感謝の意味を込めて「法事のお返し」の品物を贈るのが古くからの慣習です。
お供えのほかにも「引き出物」や「返礼品」と呼ばれることもあります。
「香典返し」との違い
混合されがちな言葉に「香典返し」があります。
「法事のお返し」と「香典返し」の違いは「四十九日の前か後か」です。仏教では「四十九日を忌明け法要」としており、四十九日を迎えると故人は仏さまとなり、成仏されると考えられています。
そのため、四十九日の前に、ご霊前へのお供えとして参列者などから頂いた金品「お香典」に対するお返しが「香典返し」です。
一方で、四十九日を過ぎると故人は仏さまになります。ご仏前へのお気持ちとして頂いた金品へのお返しは「法事のお返し(引き出物・返礼品)」となります。
法事のお返し相場はどのくらい?
では、法事のお返しを贈る際、いくらの品物をお渡しするのが相場なのでしょうか。以下でくわしく解説します。
頂いた「お供え」金額の3分の1~半額程度
法事のお返しは、頂いたお供えの「3分の1から半額程度(半返し)」が相場です。
親族以外の方から頂くお供えは10,000円程が一般的です。もちろん、前後するケースもあるため、法事のお返しにかける費用は2,000~5,000円を目安にしておくとよいでしょう。
万が一、当日のお返しの金額が少なかった場合は、後日品物を送るなどの対応が必要です。
なお、会食を行う場合は会食費用を含めた2~3万円程度の金額を包んでくる傾向にあります。会食費用を引いた額の3分の1から半額程度と考えましょう。
関西では品物を2つに分けるケースも
地域によっては、法事のお返しの呼び方が異なる場合があります。
関西や西日本では、お返しのことを「粗供養」と呼び、お返しの品物は2種類以上のセットを渡す場合が多い傾向にあります。
例えば、粗供養の予算が3,000円の場合、1,500円程度の品物を2種類用意する必要があるのです。品物を2種類以上用意するのは「喪主の母」と「施主の長男」というように、喪主と施主で品を分ける意味があります。
詳細は地域によって異なるため、親戚などに慣習を確認しておきましょう。
法事のお返しに相応しい「消え物」ギフト
法事のお返しには食べたり使用したりするとなくなるという意味の「消え物」を選ぶのが一般的です。
ここでは、一般的な予算相場とされている2,000~5,000円の法事のお返しに相応しい品物を紹介します。
「お菓子」
消え物のギフトとして選ばれているのが「お菓子」です。和菓子や洋菓子など種類が豊富で、予算や相手の好みや年齢層などに合わせて選べます。
お菓子を選ぶ際は、参列者が持ち帰るときに負担になりにくい軽いものを選ぶことが大切です。
また、生菓子よりも焼き菓子のような日持ちがしやすいものや個包装で常温保存が可能なものがおすすめです。ただし、年配の方に渡す場合は、固焼きせんべいなどの食べづらいお菓子は避けましょう。
「乾麺」
甘いものが苦手な方や好みがわからない方には「乾麺」がおすすめです。常温保存や長期保存が可能なため、相手に喜んでもらいやすいギフトといえます。
また、比較的軽量なので、自宅まで持ち帰る際に相手の負担になりません。乾麺には、うどんや素麺、蕎麦、パスタなどのさまざまな種類があるので、夏は素麺、冬はうどんというように、季節や渡す相手の年齢層などを考慮して種類を選ぶことをおすすめします。
「乾物」
「乾物」も、法事のお返しとして定番のギフトです。中でも、普段の食事で使いやすい海苔やしいたけなどが選ばれています。
乾物は長期保存が可能な上に軽量なため、持ち帰ってもらう際に相手の負担になりません。また、お返しを贈る相手の年齢層や好みを気にせずに渡すことができます。
乾物を選ぶ際は安いものを選んでしまうと質素なイメージになりやすいため、上質なものを贈るようにしましょう。
「飲み物」
「飲み物」を法事のお返しにすることも可能です。缶や瓶、ペットボトルなどに入っている液体の飲み物だと持ち運びが大変になりますが、ティーパックやスティックタイプのものを選べば、高齢の方にお返しを渡す場合でも安心です。
法事のお返しにおすすめの飲み物は、お茶や紅茶などの茶葉やコーヒーなどがあげられます。飲み物を法事のお返しに選べば、受け取った方は帰宅後すぐに使ってもらえます。
「調味料」
料理好きな方や子どもがいる方に法事のお返しを贈る場合は「調味料」を選択肢の一つに入れるのもおすすめです。
調味料は乾物や乾麺と同様に普段の食事で気軽に使用できるため、相手に喜ばれる傾向があります。
調味料を法事のお返しに贈る場合は、かつお出汁やあご出汁、味噌、醤油などの使いやすいものを選ぶことが大切です。ただし、重量が多い調味料を選ぶと持ち帰りが大変になるので、相手の負担にならないものを選びましょう。
「石けん」「洗剤」
法事のお返しに相応しい消え物として「石けん」や「洗剤」などもあります。「不幸や悲しみを洗い流す」といった意味を持っています。
石けんや洗剤は生活の中で不可欠なものなので、いくつあっても困らないという面からも用いられることが多い品です。固形石けん以外にも、ハンドソープやボディソープ、洗濯用石けん、食器用洗剤など幅広い種類から選べます。
「タオル」
「タオル」も法事のお返しに相応しい消え物です。「涙をぬぐう」という意味があることや何枚あっても困らない日用消耗品であることが選ばれる理由です。
法事のお返しでタオルを贈る場合、派手な柄や色が入ったタオルは避け、白などのベーシックカラーを選ぶようにしましょう。
タオルの中でも、綿100%の日本製のものは肌触りがよいのでおすすめです。
「カタログギフト」
「カタログギフト」は、法事のお返しに相応しいギフトの一つです。
カタログギフトの特徴は、お返しの品物を相手に選んでもらえることです。相手が好きなものを自由に選べるため、品物選びの失敗を避けることができます。
法事のお返しに適した落ち着いた表紙のカタログも多く、持ち帰りの際に荷物になりにくいことからも、法事のお返しの品として選ばれています。
法事のお返しに添える「掛け紙マナー」
ここでは、法事のお返しに添える「掛け紙」のマナーについて解説します。
熨斗は付けない
法事のお返しを贈る際は、品物に「掛け紙」を掛けるのがマナーです。
のし紙と呼ばれることも多くなっていますが、本来「熨斗(のし)」とは慶事(お祝い事)のときに使われる「熨斗鮑(のしあわび)」のことを指します。鮑(あわび)を薄く伸ばしたもので、縁起物として慶事の贈り物に添えられていました。
現代では熨斗(のし)は紙に置き換えられ、慶事の際は「のし紙」と呼び、弔事では「掛け紙」が本来です。法事のお返しに際しては、のし紙を選ばないように注意しましょう。
表書きは「志」または「粗供養」
掛け紙の表書きには、「志」または「粗供養」と書くのが一般的です。
「志」は全国どの地域でも共通して使用できる表書きです。「粗供養」は関西エリアや西日本でよく使われています。関西や西日本のエリアの中には、掛け紙の表書きに「満中陰志」と記載する地域もあります。
こちらも、地域によって使われる用語が異なるため親戚などに確認しておくと安心です。また、掛け紙の下部には、鈴木や田中などの施主の家名を記します。
水引の色にも注意が必要
「水引(みずひき)」には、さまざまな色の種類がありますが、法事のお返しに使用する場合は色の選び方にも注意が必要です。弔事では白黒・銀・黄白・青白などが用いられています。
白黒は、全国どのエリアでも使用可能です。関西エリアでは黄白がよく使われています。法事のお返しには「二度と繰り返さない」という意味をもつ結び切りの水引(みずひき)を選びましょう。
「内掛け」と「外掛け」
掛け紙の付け方には、「内掛け(内のし)」と「外掛け(外のし)」の2種類があります。
内掛けとは品物の上に掛け紙を付けて、そのまま包装紙で包む方法です。外掛けは、包装した品物の上に掛け紙を付ける方法を指します。
法事のお返しを直接手渡しする場合は、外掛けを選ぶのが主流です。配送を選ぶ場合は、掛け紙が破損しないように内掛けにするのがマナーとされています。
法事のお返しのお渡し方法
法事のお返しを手渡しする場合、どのようなマナーや注意点があるのか以下で解説します。
一人ずつ手渡しするのが丁寧
法事のお返しは、当日の法要が全て終わり、参列者をお見送りするときに手渡しするのが一般的です。参列者に一人ずつ手渡しする際に、参列してくれたことへの感謝やお礼の気持ちを伝えましょう。
ただし「くれぐれも」や「ますます」などの重ね言葉は縁起が悪いため、使用しないよう注意する必要があります。
手渡しするなら挨拶状(お礼状)は付けなくても問題ない
法事のお返しを配送するなど、手渡しできない場合は、挨拶状(お礼状)を添えるのがマナーです。会食の席を設けている場合は、座席に挨拶状を付けておきましょう。ただし、お返しを手渡しする場合は、挨拶状は不要です。
マナーを知って適切な法事のお返しを
地域ごとにマナーや慣習が異なる場合があるため、法事のお返しのマナーを正しく知らないという場合でも恥ずかしいと思う必要はありません。今回を機に、正しい知識やマナーをしっかりと身に付けて対応するようにしましょう。
法事のお返しにカタログギフトを選べば、参列者の年齢や好みを配慮する必要がありません。数千円程度から予算に応じて選べるだけでなく、掛け紙なども依頼できるので、法事の準備で多忙な施主の助けにもなります。
マナーを守り、感謝の気持ちをしっかりと伝えて、社会人として適した振る舞いができるように心がけましょう。