12月に入ると、仕事関係の取引先や親戚、知人からお菓子や食品などの品物をいただくことが増えるものです。1年の感謝を表す贈り物であるお歳暮をいただいた場合、お礼状を書く必要があるか悩む方もいるのではないでしょうか。
お歳暮をいただいたら品物に満足するだけで終わらず、相手にお礼状を書く必要があります。そこでこの記事では、シーン別にお歳暮のお礼状の書き方や例文、マナーをご紹介します。ビジネスシーンとプライベートでは書き方が異なるので、正確に把握することが大切です。失礼のないお礼状をスムーズに書けるようポイントをおさえておきましょう。
お歳暮のお礼状にまつわるマナー
相手にお歳暮をいただいたことへの感謝を伝える方法のひとつにお礼状を送る方法があります。相手によっては電話やメールで済ませることも可能ですが、お礼状はより丁寧な方法といえます。感謝を伝えたいのであればぜひ送ってみましょう。
しかし、お礼状を送るにあたって守るべきルールがいくつかあります。マナー違反をしてしまうと、せっかく送ったお礼状も逆に失礼にあたり、相手の気分を損ねてしまうかもしれません。送るべきタイミングや形式を確認しておきましょう。
お歳暮が届いたらすぐに出す
お歳暮をいただいたら、その日のうちにお礼状を送る準備にとりかかります。遅くとも3日以内に対応することを心掛けましょう。内容はいただいたことへの感謝の気持ちを素直に伝えるように書きます。
お世話になっている取引先に出す場合は、特に丁寧な文章を心掛けましょう。送付が遅くなった場合は、お詫びの文章を付け加えると丁寧です。送りそびれたからと、年賀状に一言添えるだけというのはマナー違反になるので避けましょう。
封書・縦書きが最も丁寧
「封書・縦書き」が最も丁寧な形式であり、基本的なパターンでもあります。日ごろからお世話になっている取引先へはこの形式で送るのがベターです。受け取った相手からもマナーをわきまえていると好印象をもたれやすいでしょう。
いただいたすべての方に対して、「封書・縦書き」で送らなくてはいけないわけではありません。たとえば親しい関係である親戚や習い事の先生へは横書きや、はがき・メールでお礼状を送っても問題ないでしょう。相手との関係や親密度を考えて、その方に合った形で送るよう心がけることも重要です。
お歳暮のお礼状の書き方・流れ
お歳暮のお礼状は次の5つから構成されています。頭語、時候の挨拶、お礼の言葉、相手方の健康を気遣う言葉、頭語に合わせた結びの言葉です。この構成を崩してしまうと、先方にマナー違反だと取られてしまう場合もありますので注意します。
お礼状を書くときは全体の構成とそれぞれのポイントをおさえながら文章を書くように心掛けましょう。ここからは具体的な書き方の流れを構成に沿って解説していきます。
①頭語
一行目には頭語を書きます。起首ともいわれる頭語は、相手への敬意を表す言葉です。たとえば拝啓、拝呈、謹啓などがあり、手紙を締めくくる結語とセットで使います。どの組み合わせでもよいわけではなく、それぞれ使ってよい組み合わせは決まっているので注意しましょう。
一般的な手紙の場合は拝啓、より丁寧にしたい場合は謹啓を用いるとよいでしょう。
②時候の挨拶
次に時候の挨拶を書きます。時候の挨拶とは季節を表す挨拶の言葉です。時候の挨拶には、文章全体をまとめる役割があります。会話をするときも、「寒い日が続きますね」、「朝晩冷え込みが激しいですね」といった言葉を挨拶として使うことがあるでしょう。
お礼状に書く場合は「暮秋の候」、「歳末の候」などの言葉ではじめて、相手の安否を尋ねる気持ちも込めて書くようにすれば丁寧な印象を与えることができます。手紙を送る季節や時期を考えて言葉を添えるようにしましょう。
③お礼の言葉
送る方とどのような関係なのかにもよりますが、日ごろから会話をする仲であれば品物をいただいてうれしい気持ちをストレートに表現した文章にするとよいでしょう。たとえば、「素敵な品物をいただいて家族共々喜んでおります」のように書くと、相手にもシンプルに喜びの気持ちを伝えることができます。
④相手方の健康を気遣う言葉
お歳暮シーズンは冬の寒さが本格的になってくるだけでなく、年末年始の用意で忙しくなります。気温の変化と慌ただしさから体調を崩しやすいタイミングなので、相手を気遣う気持ちが大切です。お礼状を出す際は、相手の健康を思いやる言葉を書く優しさも忘れないようにしましょう。
⑤頭語に合わせた結びの言葉
お歳暮のお礼状の最後は、使用した頭語とセットになっている結語で締めくくります。どの頭語を選択したかによって、使用する結語も異なるので注意しましょう。頭語に拝啓を使った場合は敬具、謹啓を使った場合は謹言を使います。
ほかには拝具、敬白、かしこなどがあります。「かしこ」は、基本的にすべての頭語に対して使える万能な結語ですが、使用できるのは書き手が女性の場合のみに限定される点に注意しましょう。また、ビジネスシーンで使う結語としては、あまりおすすめできません。
【ビジネス編】お歳暮のお礼状の書き方と例文
ビジネスシーンでお礼状を出す場合の形式は、封書、はがき、メールのどれかです。基本の書き方だけでなく、例文にも目を通しておけばスムーズに書くことができます。大切な取引先に失礼がないようにするためにも、マナーを守ったお礼状が書けるようにしておきましょう。
ビジネスシーンで出すお歳暮のお礼状の書き方
ビジネスシーンでは封書で出すのが基本です。はがきの場合も縦書きで書くと見栄えもよく、相手に丁寧な印象を与えることができます。はがきの場合は封がないので誰でも文面を見ることが可能です。そのため、誰が見ても問題ない内容を記載するようにしましょう。
相手が親しい取引先である場合は、お礼状をメールで出してもよいでしょう。宛名はメール本文の最上段に書きます。相手の会社名、肩書、名前の順番で書くのが基本です。役職を書く際は「社長」ではなく「代表取締役社長」などのように、正しい名称を使いましょう。
役職がある人ほど受け取るメールの件数も多くなる傾向にあります。件名で優先順位を付けたり、内容を確認したりするので、送る際の件名はお歳暮のお礼状であると分かるようにすると親切です。
【ビジネス編】ハガキや封書で出す場合の例文
ハガキや封書で出す場合の例文①
謹啓
孟冬の候、貴社におかれましては一層ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は大変結構なお品物をご恵送賜り誠に有難うございました。
まずは取り急ぎ略儀ながら、書中をもって御礼申し上げます。
敬白令和△年△月△日
△△株式会社
(役職)名前
ハガキや封書で出す場合の例文②
謹啓
歳末の候、貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます。
さて、本日ご丁重なお歳暮の品をありがたく拝受いたしました。
来る年も皆様のご期待に添えますよう全力をあげて努力してまいります。
今後とも変わらぬご高配を賜りますようよろしくお願いいたします。
まずは略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
敬白令和△年△月△日
△△株式会社
(役職)名前
ハガキや封書で出す場合の例文③
謹啓
師走の候、貴社におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は結構な品を頂戴しまして誠にありがとうございます。
△△株式会社の皆様には日頃より何かとお力添えを頂き、弊社といたしましても非常に心強く思っております。
今後とも何卒ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
略儀ながら、書中をもちまして御礼申し上げます。
敬白令和△年△月△日
△△株式会社
(役職)名前
【ビジネス編】メールで出す場合の例文
メールで出す場合の例文①
件名:御歳暮ありがたく頂戴いたしました
株式会社△△
(役職)△△△△様拝啓
師走の候、貴社におかれましてはますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度は結構なお品をお送り頂きましてありがとうございました。
このようなお心づかいをいただき恐縮に存じます。
今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
略儀ながら書中を持ちまして御礼申し上げます。
敬具△△株式会社
(役職)△△△△
メールで出す場合の例文②
件名:御歳暮のお礼
△△株式会社
(役職)△△△△様拝啓
歳末の候、〇〇様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は結構なお品をお送り頂きましてありがとうございました。
このようなお心づかいをいただき恐縮に存じます。
今年一年、格別のご厚誼を賜り厚く感謝申し上げます。
年が変わりましても変わらぬお力添えをくださいますようお願いいたします。
歳末ご多忙の折、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中を持ちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます。
敬具△△株式会社
(役職)△△△△
メールで出す場合の例文③
件名:お歳暮のお品ありがとうございました
株式会社△△
(役職)△△△△様いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△です。この度は、ご丁寧なお歳暮をお贈りいただき誠にありがとうございました。
早速、一同でおいしくいただきました。寒さ厳しい折、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。
今後ともよろしくご交誼賜りますようお願い申し上げます。
取り急ぎ、メールにてお礼まで。株式会社△△
(役職)△△△△
【個人編】お歳暮のお礼状の書き方と例文
個人でお礼状を送る場合は封書、はがき、メールのどれかで出します。個人の場合、相手とどのような関係かによって選択すべき形式や表現が異なります。
親密な関係にある方に対して、あまりにも他人行儀な書き方をしてしまうと逆に先方の気持ちを損ねてしまう恐れもあります。関係性に応じた適切な書き方と例文を知っておけば、書く内容に困ることもなく安心です。
個人宛に出すお歳暮のお礼状のポイント
個人宛てにお歳暮のお礼状を出す場合も、ビジネスシーン同様封書で出すのが基本です。内容はビジネスシーンで送る場合と大きく変わりません。
ある程度付き合いをしている相手へ送る場合は、お礼の言葉と一緒に近況報告を加えるとよいでしょう。メールでお礼状を送る場合は、親しい間柄であれば型どおりの文章でなくても失礼になりません。贈っていただいた品物に対する家族の反応を盛り込むなど、普段話をしているように気軽に書くことで、相手に気持ちが伝わりやすくなります。
【個人編】ハガキや封書で出す場合の例文
ハガキや封書で出す場合の例文①
拝啓
師走に入り、△△様におかれましてはご壮健にてお過ごしのことと存じます。
さて、この度はお歳暮の品を頂戴しまして、ありがたく存じます。いつもお心にかけて頂き心より感謝申し上げます。
寒さが続きます折、お風邪など召しませんようくれぐれもご自愛のうえ、よい新年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。
略儀ながら、書中にてお礼申し上げます。
敬具令和△△年△△月△△日
△△△△
ハガキや封書で出す場合の例文③
前略
師走に入り、今年も残すところわずかとなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
先日はお心のこもった品をいただきありがとうございました。
いつもお心遣いをいただくばかりで恐縮しています。
寒さはまだ続くようです。皆様どうぞご自愛ください。
取り急ぎ、お歳暮のお礼まで。令和△△年△△月△△日
△△△△
【個人編】メールで出す場合の例文
ハガキや封書で出す場合の例文①
件名:お歳暮届きました
△△△△様このたびは貴重なお品物を贈っていただき、ありがとうございました。
早速、家族全員でおいしくいただきました。
年末年始が近づきお互いに忙しくなりそうですね。お互い体調を崩さないよう気を付けたいものです。
取り急ぎお礼のみにて失礼いたします。△△△△
ハガキや封書で出す場合の例文②
件名:お歳暮ありがとうございました
●●さん、お元気ですか?△△です。
本日、送っていただいた品物が我が家に届きました。
おいしそうなので、家族全員で取り合いになりそうです。
これからますます寒くなりますが、風邪など引かないように気を付けてください。△△△△
【身内・親戚編】お歳暮のお礼状の書き方と例文
身内や親戚にお歳暮のお礼状を出すときは、通常の手紙と同じような感覚で書くとよいでしょう。頻繁に連絡をとるような付き合いをしている場合は、必ずしも形式どおりに頭語や結語を使ってきちんと書く必要はありません。書き方や例文をチェックして、最低限のマナーを守るようにしましょう。
身内・親戚に出すお歳暮のお礼状の書き方
身内や親戚に出すお礼状は、基本的なマナーさえ守っていれば堅苦しい文章にしなくても特に問題ありません。はがきでお礼状を出す場合は、文章だけでなくイラストを添えるのもよいでしょう。基本的には縦書きと横書き、どちらでもマナー違反にはなりません。
ビジネスシーンとは異なり、それほど形式を気にする必要がないので、文章を書く機会が少ない方でも比較的書きやすいでしょう。はがきにイラストを描く場合は上半分にイラストを、下半分に文章を書くと書く分量を減らすこともできます。しかし礼儀を重んじる家庭もあるため、基本的なマナーは知っておく必要があるでしょう。
【身内・親戚編】お歳暮のお礼状の例文
足元が冷え込む季節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。こちらは、家族全員風邪も引かずおかげさまで元気に暮らしております。
さて、本日は結構なお品を頂戴いたしまして、
ありがとうございました。お贈りいただいた海の幸はとても人気で、
簡単には手に入れることができない品と伺っております。海鮮好きの我が家には、とてもうれしい贈り物でした。
年末年始でお忙しいとは思いますが、体調管理にはお気をつけて。
まずは、お品物が届きましたこととお礼を申し上げます。
かしこ
【代筆(妻)編】お歳暮のお礼状の書き方と例文
お歳暮のお礼状を夫の代わりに妻が書くこともあります。代筆すること自体はマナー違反にはなりませんが、その際は気を付けるべきポイントがあるので知っておきましょう。差出人を連名にするかどうかで、代筆したことを示す内容は異なります。ここからは、妻が代筆する場合のお礼状の書き方と例文をご紹介しましょう。
代筆(妻)の場合に気を付けること
妻が代筆した場合は、小さく「内」という文字を書きます。縦書きの場合は、差出人を夫の名前で書きその左下に、横書きの場合は右下に書きましょう。「内」と書くことは、夫ではなく妻が書いたことを意味します。親しい関係性の方に出す場合は、「内」とは書かずに連名か妻の名前のみでよいでしょう。
代筆の場合は、夫の代わりに書くので女性が使う結語である「かしこ」は使用できません。頭語と結語には、拝啓・敬具などを使用しましょう。このマナーはお礼状以外の手紙においても同様です。
【代筆編】お歳暮のお礼状の例文
代筆(妻)の場合の例文①
拝啓
師走の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は結構なお品をいただき、ありがとうございました。
いつもお心にかけていただき恐縮に存じます。
寒さはこれからが本番でございます。皆様どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながら、書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具令和△△年△△月 △△△△ 内
代筆(妻)の場合の例文②
代筆(妻)の場合の例文②
拝啓 今年も残すところあと僅かになりました。△△様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
さて、この度は結構なお品物をお贈りくださいまして、誠にありがとうございました。
いつも気にかけていただき、感謝しております。
寒さもこれから本格的になってまいります。どうぞご自愛ください。
まずはお礼まで。
敬具令和△△年△△月 △△△△ 内
お歳暮は「お返し」しなくていいの?
お歳暮をいただいたからと「お返し」をする必要は基本的にありません。お歳暮はお世話になった方へ感謝の気持ちを込めて贈る品物です。その気持ちに対する返礼として、お礼状を送るのがマナーといえるでしょう。
どうしてもお返しをしたい場合は、いただいた品物と同額または半額くらいのものを選びます。お歳暮としてすぐに贈るのも、寒中見舞いとして年明けに贈るのもよいでしょう。その際は、松の内が過ぎ節分までに送るのがマナーです。松の内は地域によって異なるので注意が必要です。
まとめ
お礼状は、お歳暮をいただいたらすぐに出すのがマナーです。お礼状は縦書きの封書が基本ですが、相手との関係に合わせてはがき、メール、電話と使い分けても問題ありません。ビジネスシーン、プライベートどちらにも共通するマナーなので覚えておきましょう。
取引先、個人、身内・親戚によって、おさえておくべきポイントは異なります。妻がお礼状を代筆するときに守るべきマナーも把握しておくとよいでしょう。
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