新居やお店、ビル、工場などが新築される際には、建築の節目で行う「上棟式」や完成時に行う「竣工式」など、建物完成の祈願やお祝いをする儀式が行われることがあります。
式に招待された人は、「上棟祝い」や「竣工祝い」を持っていきお祝いするのが一般的ですが、式のやり方は地域によってさまざまですし、日常的によくあるお祝いでもありませんから、「何をどんな風に贈ればいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。今回はそんな上棟祝い、竣工祝いについて、贈り方や金額の相場、定番の品物などを紹介していきます。
上棟式・竣工式とは?
そもそも、上棟式や竣工式とはどのようなものなのでしょうか。
上棟式
上棟式は、建物の骨組みが出来上がり、最後にその上に棟木(むなぎ)を上げる際に行われます。神様に棟上げまでの工事が終了したことを報告し、感謝を捧げるとともに、完成までの安全と建物が末永く堅固であるよう祈願します。
神事ですので、正式には神主さんを迎え祭壇を設けてとり行われるものですが、最近では少しずつ意味合いが変わり施主が職人さんをもてなす場、お祝いの場という意味合いが強くなっています。
個人の家の場合、式自体は施主と工事関係者で行われるのが基本で、親族や友人を招待する場合もあります。地域によっては、式のあと、集まった近所の人たちにお餅やお菓子をまいたり、お金を投げたりするところもあります。
なお、上棟祝いは、上棟式に招待された人が持っていくお祝いの品を指します。
竣工式
竣工式は、建物が完成した際に行うものです。
本来の意味は、建物が無事完成したことを神様に報告し、感謝を捧げるとともに加護を祈る儀式で、上棟式と同様、神事です。竣工式も、最近では少しずつ意味合いが変わり、現在では建物が無事にほとんど完成したことを関係者に披露し、協力してくれた人に感謝する式典という意味合いが強くなっています。
ちなみに竣工とは、一般に企業のオフィスビルや店舗、工場、公共施設、学校など、比較的大きな建築物の完成のことを指し、個人の住居は含まれません。
なお、竣工祝いは、竣工式に招待された人が持っていったり、贈ったりするお祝いの品を指します。
上棟祝い・竣工祝いを渡す時期は?
上棟祝いは、上棟式に持っていくのが基本です。 竣工祝いは竣工式に持っていき、受付でご祝儀を渡すか、事前に品物を贈ります。
事前に贈る場合、建物の完成の日付がわかっているなら、完成日の前日までに贈るのがマナーですが、オフィス移転などを伴う場合は、無理に贈ると、相手が忙しい中に、さらに余計な仕事を増やしてしまうことも考えられます。贈り先の状況を見て判断してください。
※移転後に贈る場合は、移転日から1~2週間の余裕を見て贈るといいでしょう。
上棟祝い・竣工祝いの相場は?
上棟祝いの相場は、地域によって風習が違うので一概にはいえませんが、個人の住居の場合、数千~10,000円程度とするところが多いです。
※竣工祝いの相場は、相手との関係性によって変わります。
相手との関係性 | 金額の目安 |
---|---|
近い身内 | 10,000~30,000円 |
友人や知人 | 10,000~15,000円 |
取引先 | 10,000~30,000円 |
重要な取引先 | 30,000~50,000円 |
建物の建築を請け負った会社 | 50,000~100,000円 |
上棟祝い・竣工祝いの贈り方は?
上棟祝い、竣工祝いともに、のしは紅白で蝶結びの水引を使用します。
表書きは「祝上棟」や「上棟式御祝」「祝竣工」「御竣工御祝」として、下段には贈り主のフルネームを書きます。
なお、上棟式、竣工式に出席する際には、神事であることを踏まえ、個人宅の上棟式でも、Tシャツなどのあまりラフな服装は避けるのが無難です。また、企業として竣工式に招待された場合は、原則として代表者が出席します。
上棟祝い・竣工祝いの定番の贈り物
上棟祝い、竣工祝いそれぞれ、定番の贈り物を紹介します。
上棟祝いの定番品
上棟祝いの定番は、なんといっても日本酒やビール、ワインなどの飲み物です。
現代では、上棟式は施主が職人さんたちをもてなす場になっています。地域によっては、式のあとはそのまま宴会になる場合もありますので、その場で振舞えるような物が好まれます。日本酒なら、一升瓶を2本1組で贈るのが基本です。
また、親しい友人なら、現金を包んで渡してもいいでしょう。
飲み物以外を贈る場合は、灰皿やライター、暖房器具など、「火」を連想させる物は避けるのがマナーです。
企業の工場の上棟式などの場合は、胡蝶蘭やアレンジメントフラワーも人気があります。
竣工祝いの定番品
竣工祝いは、事前に胡蝶蘭の花を贈るか、当日に現金を包んで渡すのが定番です。当日ご祝儀を渡す場合は、紅白の蝶結びの水引ののし袋を用意し、表書きは「御竣工御祝」「御祝」などとします。
「幸せが飛んでくる」との花言葉を持つ胡蝶蘭は、竣工祝いのみならず会社の設立や店舗開店、クリニックの開業などさまざまな場面のお祝いに使われます。大振りで存在感のあるたたずまいで、1~3ヵ月前後の長いあいだ花を咲かせるので、ほかの花に比べて長く飾っておくことができます。もちろん、ただ贈ればいいというものではありません。胡蝶蘭を贈るときは、次のような点に注意してください。
・胡蝶蘭の大きさ
胡蝶蘭には、3本立て、5本立て、7本立てとさまざまな大きさがありますが、竣工祝いに贈るなら、見栄えのいい大輪5本立て以上の物がおすすめです。 ただし、贈り先のスペースによっては、あまり大きい物は邪魔になることもありますので、相手の環境を考えて選びましょう。
・胡蝶蘭の色
胡蝶蘭の色には特に決まりがなく、自分が好きな色の胡蝶蘭を贈ってかまいません。白が選ばれることが多いですが、ピンクや黄色のほか、白い花の中心だけが濃いピンクの物など、さまざまな種類がありますので、相手に合わせて選んでください。
・胡蝶蘭を贈るタイミング
竣工祝いを渡す時期で紹介したとおり、前日までに届くように贈るのが基本です。あまり早く贈りすぎても、飾れる期間が短くなってしまいますので、前日がベストだといえるでしょう。
・立札
胡蝶蘭を手配する際には、当日花に立てる立札もいっしょに注文します。立札には、以下のような内容を記します。
祝 御竣工式 ○○株式会社 代表取締役 ○山×代
なお、胡蝶蘭を贈る場合は、立札があるのでのし紙は不要です。
上棟祝いや竣工祝いは、相手方の新しい出発を祝うものでもあります。ぜひ、盛大にお祝いをしてあげてください。